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  • Shaker Hand Crafted

     昨年より発売を開始したザ・コンランショップのオリジナル家具<Ann Shaker>。そのラインナップのひとつであるハイバックチェアとアームチェアの座面を手がけるのは、鹿児島県出身の作家・川畑イサム氏。まだ20代という新進気鋭の川畑氏は、ロッククライミングを得意とし、その握力を駆使して座面を編んでいる。

     今回、弊社からの依頼に応じ、どの素材で座面を編むかを様々な手法で試作した上で、熊本県産の井草を使用することに決定した。井草は主に畳表に用いられる植物で、耐久性もあり日本の生活文化に深く関わる素材である。川畑氏の作業場は、青々とした独特の爽やかな香りに満たされ、丁寧な編み込みの手仕事が静かに息づいていた。

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     福岡県の広松木工で製作された<Ann Shaker>チェアのフレームが毎回15脚くらい、川畑氏のもとに届けられ、1日に2~3脚を仕上げるという。1脚あたりの制作時間は約3時間。
    誰に教わったわけでもなく、もともとの手先の器用さから座面編みを手仕事として確立した川畑氏だが、身体を預ける座面を編む作業は容易ではない。1本1本を隙間なく編み込むには握力や筋力が必要で、非常に力のいる仕事である。

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     川畑氏が使用する井草は幅約4mm。縄状に加工している工房は熊本県内にわずか1軒しかなく、そこから同じ産地の井草を毎回仕入れている。
    加工もすべて手作業で行われるため縄の太さには微妙な差があり、その太さに合わせて編む本数も一脚ごとに変わってくる。完成までに必要な井草は、1脚の座面でおよそ120メートルにも及ぶという。

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     ペーパーコードやテープ布で編まれる座面には、一般的にクッション材が用いられることが多い。しかし、今回の<Ann Shaker>では、井草の切れ端が隙間なく詰め込まれ、井草以外の素材は一切使用されていない仕様となっている。

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     川畑氏は丸めた井草を裏面から隙間なく丁寧に詰め込み、座面を編み上げていく。 その過程は単なる作業ではなく、素材を余さず生かそうとする意志に貫かれている。井草の自然な強さと柔らかさを最大限に引き出すその手仕事からは、持続可能なものづくりへの確かな姿勢が伝わってくる。

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     こうして仕上がった<Ann Shaker>のチェア座面は、長時間身体を預けても快適でいられるよう、切り返し部分を後方に配置した独自の編み方が施されている。 体重を分散し、座る人の負担を和らげる工夫が隠されているのだ。編み込まれた井草は、使うほどに色合いを変え、柔らかさと強さを兼ね備えた表情を見せる。

     まるで畳の上に腰を下ろしたような優しい感触は、川畑氏が1脚ごとに計算を重ね、丹念に編み上げた強度と技から生まれている。 井草を縄状に加工するのも編み込むのもすべて手作業であり、そのわずかな太さの違いに合わせて本数を調整し、120メートルもの素材を惜しみなく使う。

     そこには、素材を無駄にせず活かし切るサスティナブルな思想と、確かな職人の矜持が宿っている。1脚に込められた想いと手のぬくもりを、ぜひ店頭で体感してほしい。

    川畑イサム

    川畑イサム

    2000年生まれ。鹿児島県立鶴丸高校卒業後、4年間スポーツクライミング選手として活動する。
    選手引退後は父の会社「DWELL」で働く傍ら、個人で椅子の座面編み、レザーワーク、飲食、クライミングの指導など幅広く活動を行っている。

    Instagram:https://www.instagram.com/isamu_kawabata/


    ザ・コンランショップのオリジナル家具シリーズ「Ann Shaker」

     ザ・コンランショップが、スタイリストの石井佳苗氏と福岡県大川市にある家具メーカー、広松木工株式会社とともに共作した、オリジナル家具シリーズ、「Ann Shaker(アン シェーカー)」。

     シェーカー家具ならではの直線的で簡素なフォルムを大切にし、何度も試作を重ねながら実用性を追求した末に完成したAnn Shakerは、「PLAIN SIMPLE USEFUL」という、ブランドの創業者テレンス・ コンランのデザイン哲学も反映しています。

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