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on 30-September-22
モダンデザインの名作として世界的に知られているCH24は、 ハンス J. ウェグナーによって、1949年にカール・ハンセン&サン社のためにデザインされました。
木工職人だったハンス J. ウェグナーは、常に木材に敬意を払い、その可能性を追求してきました。「考え抜かれた構造はそれ自体が装飾となりうる。」 と語るウェグナーは、木材の特質を生かし、CH24において、アームと背もたれを一体にするという、それまでの椅子デザインに見られなかった斬新な試みをしました。 そして、この曲げ木のアームに安定感を与えるために考えられたY字の背もたれが"Yチェア"と呼ばれるようになった由縁です。
Y字の背もたれは、CH24のシンボルになり、後ろ足は、アームを支える支柱を省略したことから曲線の美しさが際立ち、正面、斜め、真横など自由な座り方が可能になりました。カーブを描く笠木はさまざまな体勢をサポートし、角の無いパーツは、優しい肌触りと快適な座り心地を提供してくれます。
CH24には100以上の製作工程があり、中でも、座面にペーパーコードを張る作業は、熟練した職人でも1時間を要する重要な工程です。強度と耐久性に優れたペーパーコードを1脚あたり120メートル使い、長年にわたって使用できる座面を作り上げています。
「椅子は360°どこから見ても美しくなくてはいけない。」と語るウェグナーのデザインしたCH24は、ダイニング、ラウンジ、どちらのシーンにも溶け込む要素を持ったオールマイティーなチェアです。70年以上たった現在でも世界中の人々に愛され続け、デンマークの職人の手で丁寧に作り続けられています。
カール・ハンセン&サンは、1908年にデンマークに設立された家具メーカーです。「質の良い家具を、リーズナブルな価格で、より多くの人々に提供すること」を理念に掲げ、優れたクラフトマンシップと高い制作技術を融合し、新しいビジョンに満ちたデザインを世に送り出しています。
すべての製品をデンマーク国内で製作し、家具の大部分はデンマークの無垢の木材を使用しています。 無垢材から作られるパーツは、ある程度までは機械で加工されますが、機械では出来ない細かなディテール部分、組み立て、そして座面のペーパーコード貼りは、すべて職人の手作業で作られており、その工程は100を超えます。 木材はFSCの認証を取得したものを使用し、制作によって排出された木くずは、暖房設備の燃料に使用されています。
カール・ハンセン&サン社は、ハンスJ.ウェグナーの家具を最も多く製作し、フリッツ・へニングセン、オーレ・ヴァンシャー、安藤忠雄、EOOSといった世界的に知られたデザイナーとも協働しています。シンプルで美しく、機能を備えた製品は、世界各国で愛用さており、住空間はもちろん、世界的に有名なレストラン、国際会議場、空港、ホテル、リゾート、文化施設、スポーツ関連施設、そして医療施設などで、温かく人間味あふれる空間を演出しています。
ハンス J. ウェグナーは、1914年に靴職人の息子としてデンマークとドイツの国境の町、トゥナーに生まれました。 家具職人の元で家具を学び、17歳で職人の資格を取得。3年後にコペンハーゲンへ移り、1936年から1938年まで工芸スクールに在籍した後、デザイナーとして活動を開始しました。 1940年には、アルネ・ヤコブセン、エリック・ムラーと共に、オーフース市庁舎用の家具デザインを手がけ、さらには、モダンデザインをデンマークに広める起動力となった家具職人マスターのヨハネス・ハンセンとも仕事を始めました。
1944年、中国の椅子からインスピレーションを得て制作したチャイナチェアシリーズの最初の製品を発表し、1949年にシリーズの一つとしてYチェアがデザインされました。Yチェアは、1950年からカール・ハンセン&サン社で生産が始まり、その後70年以上にわたり生産が継続されています。
多くの家具をデザインしたウェグナーは、「椅子の巨匠」とも言われ、500脚以上の作品を残しています。その多くが名作として世界中で注目を集め、ルニング賞、大阪国際デザイン賞(1997年)など、優れたデザイナーに与えられる賞をほぼ受賞し、1995年にはデンマーク芸術院の名誉会員に迎えられたほか、1997年には英国王立芸術院の名誉博士号を授与されました。現在、ウェグナー作品は、NY近代美術館、ミュンヘンのDie Neue Sammlung 美術館など数多くの美術館に所蔵展示されています。
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