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on 30-June-25
暮らしの上で不可欠な収納家具。しまうだけでなく、背景として、仕切りとして、演出など様々な機能を付加することができる。「しまうこと=余白を生む」「見せること=個性や自由さを表現する」機能性はもちろんだが、自分らしい空間演出を行う上で大切な家具。
ザ・コンランショップでは多様なデザイン、機能を取り揃え洗練された収納家具を展開している。 その中でも今回ベルギー発の家具ブランド<Ethnicraft(エスニクラフト)>のプロダクトを用いて、"美しく暮らすための収納術"を、生活形態も職種も異なる方々にお願いして見せてもらった。収納をする上で考えること、しまう時の自分なりのルールや規則、見せる収納(飾る)時に意識していることなど、あらゆる角度でインタビューした。
ザ・コンランショップの店舗レイアウトやPOP UPのディレクションなど、日頃から親交があるクリエイティブディレクターの南雲浩二郎氏に<Ethnicraft(エスニクラフト)>のモザイクラックを使用して収納術を表現してもらった。このラックは、オランダの画家ピート・モンドリアンの絵画からインスピレーションを受けてデザインされ、背面がなく格子が特徴である。壁付け設置や、空間の間仕切りにも活用できる。また、横にレイアウトしたりと、縦横自在に活用したりと機能性と多様性を持ち合わせている。ライフスタイルと密接に結びついた収納を、自由な発想で提案する南雲氏。今回のインタビューでは、モザイクラックをどのように読み解き、どんな視点で空間に取り入れたのか、そのアイデアや工夫について詳しく伺った。
使用したラックは、いわゆる「収納家具」というよりも、モノを"見せる"ための飾り棚のような印象がある。そのため、「しまう」と同時に「飾る」という視点で構成。本棚として本だけを並べると一般的な見え方になってしまうため、あえてオブジェなどを組み合わせ、本と他の要素が混在するような収納を意識したという。また、このラック自体が、コンポジション的に遊び心がある作りになっているので、素材や形、色を揃えすぎないようにし、むしろ「ルールをつくらないこと」を一つのルールとして、その場でバランスを見ながら自由に配置している。南雲氏は自宅の収納においても同様に、あえて"揃えない"ことで空間に動きをだしている。視覚的なノイズを減らすために、色調や素材をあわせることは多少ありつつも、単調にならないリズミカルなレイアウトを楽しんでいるという。とはいえ、本の配置は探す際の利便性を考えて、ファッション、アート、デザインなどジャンル別に集約してグルーピングしているそうだ。
今回の設えに使用されたアイテムの多くは、南雲氏自身の私物である。飾り棚に収納するモノを選ぶ際には、「見たときに自分の中で"心地いいな、眺めていたいな"と思えるものを並べるようにしている」と語る。さらに、「人からルールを読み解かれないように、何々風とカテゴライズされない感じで」と笑いながら話すそのスタイルは、どこか自由で独特なバランス感覚がある。
国内外を旅して集めた、時代も背景も異なる多様なモノたちをミックスして棚に置くことで、無意識のうちに"多様性"が表現されているのだ。日々の暮らしの中でモノを観る目を養い、石さえも、見つけた!という感覚で持ち帰り、オブジェのように飾ることもあるという。「寛容な美意識をもって感覚を開いていれば、何かをみつけられる」と南雲氏。ただし、感覚を開きっぱなしにしているとノイズも入ってくる。それを排除するために"知識"という名のノイズキャンセリング機能も同時に働かせている。
ザ・コンランショップ 東京店の一角にて、南雲氏にモザイクラックを軸にスタイリングをしてもらった。インテリアも雑貨も、あえてルールに縛られずにリズミカルに配置され、国や時代を超えて融合するインターナショナルな空間が生み出された。ヴィンテージのベンチ、イタリア製やアメリカ製の家具、そしてテレンス・コンランが愛した〈カルセリ ラウンジチェア〉など、多様な背景を持つアイテムたちが集まり、この空間を"多様性"の象徴として印象づけている。
南雲氏の展示は6月末までザ・コンランショップ 東京店で展開中
1985年BEAMS入社。店舗スタッフ、アシスタントバイヤー、VMD、家具部門のMDなどから、店舗内装のデザインディレクションを担う。現在は、ビームス ディレクターズ バンクに在籍しクリエイティブ ディレクターとして、社外に向けてワークショップ形式のVMDレクチャーや、企画展のキュレーションおよび展示構成を担うなど、その活動の場を拡げている。
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